更新日:2010.01.03
【私の恩師たち】 ~椿音楽教室~
私は小学校二年生からフルートを習い始め、当時マンツーマンではなく、グループ授業の形で、フルート講師Ho(ホ)先生に教わっていた。ちなみに、Ho先生は若い頃日本に私費留学し、武蔵野大学のフルート専攻出身で、日本語はぺらぺらだ。現在は音楽大学の准教授を務めているものの、初心者だったの私たちに対していらいらしたことがなかった。フルートについて何も知らなかったけど、Ho先生は基礎からていねいに教えてくれた。頭部管を使った音の出し方や基本的な指の置き方などを順番に習った。同じグループの女性たちは社会人のため仕事が増え、フルートをやめてしまったので、私はHo先生と一対一のレッスンを始めることを決めた。先生に大声で叱られたことはなかったが、練習をサボったり何度も注意されたことを直さなかったりしようものなら、厳しい言葉で注意されるので怖かった。毎回の授業にあたって、必ず先週練習した曲を復習しなければならない。でもそのかわりに、少しでも上手になったらはっきり「よくできた」と褒めてくれた。フルートに関するテクニックや知識ばかりではなく、曲の読み練習をするたび、音楽理論も一緒に教えてくれた。最初ちゃんとした音さえ出せなかった私はだんだん自分で音符を読みながら曲を演奏できるようになっていった。これはHo先生の入門指導をぬきにしては考えられない。
そして中学校から出会ったスペイン出身のRoberto Alvarez 講師は、ヨーロッパ人のためか、教え方やフルートを吹く時のスタイルがHo先生と対照的になった。Roberto先生は自由派で、いつも「曲をスタートする時、何も考えずに、まっすぐにプールに飛び込むように吹けばいい。」とおしゃっている。そして、曲のキャラクターをフルートで表現するのを一番重視していた。Roberto先生は私の演奏は「硬い!重い!」と批評し、おもしろい話をしたりしてリラックスさせようとしていた。そしてフルートフェスティバルやマスタークラスの機会を紹介してくれた。そんなちょっとクレージーな先生の影響で、私の演奏スタイルも驚くぐらい変わって、ヨーロップ風になった。人によって気に入るスタイルが違うけれども、私はやはり自由奔放のほうが好き。そして何よりも、フルート試験とディプロマのリサイタルに向けての準備はRoberto先生の指導を抜きにしては完成せず、また合格もできなかっただろう。
基礎を固めてくれたHo先生と私の能力をさらに伸ばして新しい世界を見せてくれたRoberto先生には感謝のきもちでいっぱいだ。