公開日:2023.05.31 更新日:2023.05.31
木管楽器の種類とおすすめの選び方を紹介

木管楽器というとどのようなイメージを持たれているでしょうか。少し楽器のことを知っている方なら、フルートやクラリネットが木管楽器に分類されていることはご存知かもしれません。
ただ、よくよく考えてみるとフルートやサックスも外観は金属ですし、どこに木管の要素があるのかイメージできない方もいるでしょう。
そこで本記事では、どのような楽器が木管楽器と分類されており、それらの種類や特徴にはどのような違いがあるのかを解説します。
さらにはこれから木管楽器をはじめてみたいという初心者の方に向けて、楽器の選び方についてご紹介していきます。
目次
木管楽器の特徴
木管楽器と金管楽器は混同されやすいですが、木管楽器の特徴には下記の2つがあります。
- リードを使って発音する
- 楽器が木でできている、もしくは元々は木でできていた
それぞれの特徴についてみていきましょう。
リードを使って発音する
金管楽器と大きく違うところとして、木管楽器は唇を振動させずにリードを使って音を出します。 一方で金管楽器はマウスピースを使って唇の振動を調整しながら音を出す楽器です。そのため、サックスは金管楽器と間違えられやすいですが、こちらもリードを使って音を出すため、木管楽器に分類されます。
そもそもリードとは、葦(あし)という植物から作られている小さな板で、このリードを楽器につけて、息を吹き込み、振動を楽器に伝えることによって音を出します。楽器によってエアリード、シングルリード、ダブルリードなど使用するリードの大きさや仕様などが異なります。
そこでよく質問をいただくのが、フルートはリードを使わないのになぜ木管楽器に分類されるのか、ということです。フルートは物理的なリードを使いませんが、吹き込んだ空気によってリードの役割を果たすエアリードという方法で音を出す仕組みになっています。
直接リードを使って音を鳴らすような仕組みではなくても、楽器の管の中でエアー(空気)によって同じように音を出すことができれば、木管楽器という分類になります。
楽器が木でできている、もしくは元々は木でできていた
木管楽器の特徴の2つ目として、楽器本体が木でできているもしくは元々は木からできている楽器だったという特徴があります。
フルートやサックスは金属製の楽器です。しかし、フルートは元々は木で作られている楽器であったことから木管楽器に分類されています。
サックスは当初から金属で作られていましたが、音の出し方や楽器の基本的な構造がクラリネットと同じであることから、木管楽器に位置付けられています。
昔は木製の管楽器のみを木管楽器としていましたが、今では同じ構造や発音方法であれば金属製であっても木管楽器と呼ばれています。
木管楽器の種類
木管楽器に分類されている代表的な楽器を5つご紹介します。
- フルート
- クラリネット
- サックス
- オーボエ
- ファゴット
これらの楽器は全て木管楽器に分類されますが、先ほどご紹介したリードについては、楽器ごとにエアリード、シングルリード、ダブルリードに分かれます。それではひとつずつ詳しくみていきましょう。
フルート
オーケストラで鳥のさえずりのような美しい音色を響かせるフルートは木管楽器の中でも最も高い音域を担当します。一口にフルートといっても、実は大きさによって奏でる音域も変わるため、音の高低によって種類がいくつかに分かれます。
- コンサートフルート
- ピッコロ
- ソプラノフルート
- アルトフルート
- バスフルート
- コントラバス・フルート
- フルート・ダモーレ
最もメジャーなのがコンサートフルートで、一般的にフルートといえばコンサートフルートのことを指します。演奏する楽曲にもよりますが、フルート奏者はピッコロに持ち替えて演奏することも度々あります。
フルートは白銅や銀、金や木材などさまざまな素材によって楽器が作られています。素材によって音色が変わるので、曲によって楽器を使い分ける人もいますよ。
クラリネット
クラリネットは18世紀にヨーロッパで「シャリュモー」と呼ばれる楽器から派生し、誕生しました。
管楽器の中でも音域が最も広い楽器で、4オクターブもの幅広い音を出すことができます。その音域の広さからオーケストラでは、木管パートとして中間の音程を担当しつつ、ソロとしても活躍します。
軽快な明るいメロディから情緒的な暗さを感じる深い音まで表現できることから、ジャズなどでも使われます。クラリネットも音域によって分類することができます。代表的なクラリネットをご紹介しましょう。
- ソプラニーノクラリネット
- ソプラノクラリネット
- アルトクラリネット
- バスクラリネット
オーケストラで最も使われるクラリネットはソプラノクラリネットです。吹奏楽ではヴァイオリンのような主役といえる存在感があり、なくてはならない存在です。
「グラナディラ」と呼ばれる自然由来の材料で作られているクラリネットは、同じメーカーであっても個体差による音の違いがよくある楽器です。購入する際は複数のクラリネットをじっくり吹き比べてから選定することがよくあります。
サックス
サックスは1840年代にアドルフ・サックスが発明した木管楽器で、彼の名前からサックスと名付けられました。
見た目は金管楽器のようですが、楽器の構造は木管楽器に分類されています。サックスは600以上の部品から構成されており、その複雑な構造からジャズだけではなく、クラシックやロックに用いられるような多様な音色を響かせます。
サックスも葦を使ったリードを使用しています。それぞれの演奏家の好みに合わせたリードやリードを取り付けるマウスピースなど、たくさんの種類が用意されています。
サックスも高音から低音まで対応できるようにいくつか分類できます。代表的な4つのサックスをあげておきましょう。
- ソプラノサックス
- アルトサックス
- テナーサックス
- バリトンサックス
一般的にサックスとしてイメージされるものはアルトサックスで、生産数やモデル数は最も多くなっており、ジャズ以外にも様々な音楽のジャンルで使用されています。
また、サックスは他の管楽器の中では種類が多い方で、上記の4種類以外にも合計9種類ほど存在します。これからはじめる初心者の方は、まずはスタンダードのサックスをおすすめしますが、ニッチな種類を将来的に使ってみるのも面白いかもしれませんね。
オーボエ
17世紀ごろフランスで誕生したといわれているオーボエは「フランス式」と「ドイツ式」の2種類に分けられます。近年での主流は、フランス式で「コンセルヴァトワール式」とも呼ばれています。
オーボエは2枚のリードを使用するダブルリードの楽器で、非常によく響く美しい音色から吹奏楽やオーケストラでもここぞというときのソロパートを担当することがしばしばあります。
ただ、オーボエは木管楽器の中で最も演奏することが難しい楽器でもあり、初心者の場合、音を出すだけでもかなりの時間がかかることがしばしばあります。
しかし、難しい楽器だからこそ演奏者としての貴重価値は高まるもので、演奏できるようになればその美しい音色で人々を魅了すること間違いなしです。
オーボエの中でもいくつか種類が分けられるのですが、代表的な4つを紹介しましょう。
- オーボエ
- オーボエ・ダモーレ
- イングリッシュホルン
- バスオーボエ
最も一般的なのが「オーボエ」で、その中でも「フル・オートマティック・システム」と「セミ・オートマティック・システム」に分かれます。フルオートとセミオートで微妙に指使いや、吹き心地、音程感などが変わります。
自分に合った方を見つけられるといいですね。フル・オートは複雑かつ演奏に力が必要になる一方、セミ・オートマティックは比較的初心者にも扱いやすいつくりになっており、初級者向けから上級者向けまで幅広く対応しています。
ファゴット
ファゴットは16世紀ごろに生まれたとされている楽器で、イタリア語で「束」という意味の通り、2つの木を組み合わせて作る木管楽器です。
オーボエと同じようにダブルリードの楽器で、本体内部の厚さによって音色が変化します。「バスーン」とも呼ばれていますよ。
低音を担当しており、オーケストラではその渋みのある独特な音色でメロディを支えたり、時にはソロパートを担当することもあります。
ファゴットはとてもキーが多い楽器で、他の楽器ではあまりない指を10本フル活用する楽器です。難しそうに思えてしまいますが、音は比較的出しやすく、ストラップというもので楽器がしっかりと支えられるため、指は複雑な分動かしやすい楽器です。
ファゴットは大きく分けて2種類に分類されます。
- ファゴット
- コントラファゴット
一般的には、ファゴットがオーケストラや吹奏楽によく使われており、4オクターブの広い音域で伴奏から旋律まで様々な役割を担当します。
木管楽器の選び方
木管楽器についてご紹介してきましたが、興味のある楽器はあったでしょうか。
楽器の選び方としては様々な側面からいえることはありますが、長く楽しむという意味でも自分が好きな音色だったり、オーケストラでの役割、見た目で決めてしまうのもおすすめです。ぐんぐんと上達していけるひとつの要因としてその楽器のことが好きであることは非常に重要です。
とはいえ、今まで全く音楽をやってこなかった初心者の方は、あまりにも難易度の高い楽器をはじめに選んでしまうと、ある程度演奏できるようになる前に挫折してしまう可能性もあります。そのリスクを回避するという意味で難易度の簡単な木管楽器から選んでみるのも良いかもしれません。
演奏の難易度の簡単なものから並び替えると下記のようになります。
- サックス
- フルート
- クラリネット
- ファゴット
- オーボエ
やはりダブルリードのファゴットとオーボエは難易度が高いです。
中でもオーボエは、世界一演奏が難しい木管楽器としてギネスブックに掲載されるほどなので、しっかりと演奏ができるようになるまで根気がいるかもしれません。
しかし、難しい楽器ほどその音色は美しく素晴らしいものです。木管楽器を演奏してみたいけど、どの楽器にするか選び方に迷っている方は、試しにそれぞれの楽器の演奏を聞いてみると良いかもしれません。
たとえそれが直感的な好みであってもそれは木管楽器を選ぶ理由として全く間違っていませんよ。
初心者におすすめの木管楽器とは?
ここでは初心者の方向けにおすすめの木管楽器を紹介します。
自分の好みで選ぶのはもちろん、選ぶときの参考にぜひしてみてくださいね。
すぐに音を出したいならクラリネット
クラリネットは比較的音が出しやすい楽器です。メロディーラインを担当することが多いので、大人数で合奏する時に目立つことができます。
クラシックな曲ではソロを担当することもありますよ。
すぐに吹けるようになりたいと思う人はぜひクラリネットを検討してみてください。
さまざまな音域を吹き分けてみたいならサックス
サックスは木管楽器の中で最も音が出しやすい楽器です。発音もしやすいので特に初心者の方におすすめです。
サックスの魅力的な点は音域に応じてたくさんの種類の楽器があること。
高い音で演奏したい時はソプラノ、低い音でカッコよく決めたいときにはテナーなど、自分の好みはもちろん、曲によって吹き分けたることもできます。
吹奏楽だけではなく、ジャズやポップスなどジャンルも幅広いので、活躍の場を広げたいと考えている人はサックスがおすすめです。
癒される音に包まれたいならファゴット
木管楽器らしい、温かい音色に包まれたいと感じる人はファゴットがオススメです。
ファゴットは低音パートの一員としてバンドを支えるポジションを主に担当します。しかし、曲によってはソロを担当することもあるので時には目立つこともできます。
ファゴットの魅力はなんといって包み込むような包容力のあるサウンドです。演奏しながら癒されること間違いありません。
プロに教えてもらって楽器を吹けるようになろう
自分の楽器を決めることができたら、基本的な奏法はプロから教えてもらうのがおすすめです。正しい姿勢や基本的な演奏法はもちろん、着実に上達するための練習曲やあなたにあった練習方法を教えてもらうことができます。
独学だと知らない間に変な癖がついてしまったり、間違った練習方法で上達まで遠回りしてしまったりすることもよくあります。そのため、演奏するための基本や楽譜の読み方などはアドバイスをもらいながら練習しましょう。
椿音楽教室では、全国200ヶ所以上あるスタジオや自宅でレッスンが受けられるようになっています。場所や時間を選ばず、「楽器が吹けるようになりたい!」と思ったタイミングで気軽にレッスンを受けることが可能です。
講師陣にはさまざまなコンクールに入選しているフルート奏者やライブハウスなどで演奏をするサックスの講師、全国各地でコンサートを開催しているクラリネット奏者など、一流の講師が所属しています。あなたにぴったりの講師を見つけることができますよ。
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木管楽器に関するよくある質問
ここでは木管楽器に関するよくある質問をご紹介します。
木管楽器にはどのような種類がありますか?
木管楽器に分類されている代表的な楽器は次の5つです。
- フルート
- クラリネット
- サックス
- オーボエ
- ファゴット
木管楽器はどのように選べば良いですか?
楽器の選び方としては様々な側面からいえることはありますが、長く楽しむという意味でも自分が好きな音色だったり、オーケストラでの役割、見た目で決めてしまうのもおすすめです。
ぐんぐんと上達していけるひとつの要因としてその楽器のことが好きであることは非常に重要です。
どの楽器にするか選び方に迷っている方は、試しにそれぞれの楽器の演奏を聴いてみると良いかもしれません。
木管楽器と金管楽器の違いはなんですか?
木管楽器の特徴としてはリードを使って発音する、という点があります。楽器の分類の仕方としては、唇を震わせて音を鳴らす楽器が金管楽器で、それ以外が木管楽器となります。
この記事を監修した講師
岡本雄貴
楽器
オーボエ、ファゴット
【岡本雄貴先生監修コメント】
ぜひ色んな楽器の演奏を聴いてみてください!それぞれの楽器に特有の魅力があります。どの魅力にあなたはトキメキを感じるでしょうか。私は木でしか出せない温かい音に魅力を感じて、木管楽器を始めました。 お気に入りの楽器を見つけたら、その楽器に気軽にチャレンジしてみましょう!!