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Staff Blog

更新日:2016.07.27

~ヘンデルに騙された追いはぎ~

追いはぎというのは昔もいたようです。イギリスにも!
しかしさすがに紳士の国だけあって、なかなか味のあるお話が残っているのだとか。

ある聖職者が追いはぎに襲われます。「金を出せ」というのです。聖職者は「私の持っているものは神の言葉しかありません」というと追いはぎは「そいじゃそれをもらおう」と言って、道の真ん中にひざまづき、じっと説教を聞いたのだとか。

かの有名作曲家ヘンデルにもこんな追いはぎとのやりとりが!
1734年の事。ヘンデルはロンドンで悪戦苦闘をしていました。
彼は王室アカデミーに属し、オペラを作曲している真っ最中。
しかし対立するものとして「貴族オペラ」が設立されて、有力な歌手をどんどん引き抜かれてしまったのです。また作曲家には後のハイドンの師であるポルポラが据えられました。
強力なライバルの出現とリウマチに悩まされたヘンデル・・・非常に機嫌が悪くなりじっと部屋に閉じこもったままになってしまいました。心配した助手はリウマチに効くという鉱泉の出るタンブリッジにヘンデルを連れていくことにしました。
せっかくの休養なのでオペラの話は忘れよう。オペラと口にしたら罰金を設けようとお互いに約束までして。

2人をのせた馬車は森にさしかかりました。後から馬のひづめの音がします。そう。出たのです。追いはぎ!
馬車を止め、扉から顔をぬっと突っ込んだ追いはぎの頭は丁寧な言葉づかいで
「お二人とも税金を払わないとここを通ることはできません1人25ポンドといたしましょう」と言いました。

ヘンデルは「私たちは芝居の興業をロンドンでやって、見事に失敗し逃げてきたところです。これから海に渡って大陸に行こうとしています。だがこの船賃を差し上げてしまうと追手につかまって牢獄行きとなるのですが」といい、ポケットから銀貨をひとつまみ取り出しました。
頭はニヤッと笑いその手を押しとどめて
「ほとぼりが冷めたらまたロンドンにきなさい。その時には・・・・」
といってウインクし、手下を連れて走り去ったと言います。
ヘンデルはドイツ訛りのイギリス語と巧みな芝居とで一掴みの銀貨も罰金も払わないで済んだのです。
滞在費の大金は弟子のシュミットが持っていたことはもちろんのこと。
ヘンデルが49歳だった時のお話し。