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Staff Blog

更新日:2016.10.01

【イーヴォ・ポゴレリチ】 ~椿音楽教室~

みなさんこんにちは!!今回はピアノ界の伝説的鬼才、イーヴォ・ポゴレリチについて書いていきたいと思っております。最後までお読みいただけると嬉しいです!!
クラシックオタクの人はもちろん、クラシックに少し興味がある人でさえ、イーヴォ・ポゴレリチの名前を知らない人はいないでしょう。かれは、記録が残るピアニストの中でも最も異彩をはなつピアニストの1人と言っても過言ではないかもしれません。
かれが有名になったエピソードはあまりにも有名ですね。
そう、あのショパンコンクールでの出来事です。ショパンコンクールとは、文字どおりショパンの名前を冠したコンクールで、そのほかにも作曲家の名前を冠したピアノコンクールは沢山あります。たとえば、チャイコフスキーコンクールや、ブゾーニ国際コンクールなどです。しかし、それらのコンクールは様々な作曲家の曲が課題に上がっているのに対し、ショパンコンクールではショパンの作品のみでコンテスタントが競い合います。つまり、ピアノが上手いのは誰かを探すというよりも、ショパンに相応しいピアノを弾くのは誰かを探すコンクールです。相応しいという言葉には、実は問題があります。いったい、ショパンに相応しい演奏なんて誰が決めるんでしょうか。天国のショパンは、審査員席にはいません。つまり、審査員や現代のショパンの権威と呼ばれている人達が、ショパンはこうだ!と定義し、それを相応しいとしているのです。
イーヴォ・ポゴレリチは見事にその既成概念を粉砕しました。かれの演奏は、聴いたこともないくらい異端で、刺激的で、しかし単に機をてらったものではなく、真の天才性を感じることのできる演奏でした。聴衆たちは大いに熱狂しました。素晴らしい才能が出てきたと感嘆したのです。しかし、審査員の席に座る人の一部には、認めることができないと言い張る人達が出てきました。なぜなら、ポゴレリチのような演奏をみとめてしまうと、自分のアイデンティティや勉強してきたものを否定することになりかねないからです。そして、ポゴレリチが一次予選を通過したとき、1人の審査員が辞任しました。
そして、ついに3時予選、ポゴレリチはソナタの2番など、本当に目覚ましい演奏を繰り広げました。聴衆の多くは彼の優勝を確信したことでしょう。しかし結果は落選。会場にはブーイングが鳴り響きました。この結果に、多くの審査員は満足したことでしょう。しかし、審査員席にいた世界最高の女流ピアニストであるマルタ・アルゲリッチは違いました。「彼は天才よ!!」と言い残して、審査員席を去って行ってしまったのです!この、アルゲリッチがポゴレリチの音楽を、このようなセンセーションな形で認めた結果、ポゴレリチはおそらく普通にショパンコンクールで優勝するよりもよっぽど有名になりました。
彼の演奏はそのショパンコンクールのも含めて、今も聴くことができます。みなさんも是非、そのあり得ないほど斬新な演奏を聴いてみてはいかがでしょうか。そして、それを自分自身で認められるかについても、ためしてみてはいかがでしょうか。