Staff Blog

更新日:2016.06.11

【ペダルの踏み方その②】~椿音楽教室~

こんにちは!今回はペダルの踏み方について違った視点からみなさんと一緒に考えていきたいと思っております。最後までお読みいただけると嬉しいです!

前回はペダルについて考えていきました。ペダルというのは音が減衰してしまうという最大の弱点を持つピアノの心強い味方だということ。さらに、ピアノの音色や響きを最大限に開放し、魅力を格段に増してくれるものだということ。それらを踏まえたうえで、よくペダルの効能を考えながら練習することが大事なのではないかということを申し上げました。
みなさん、突然ですがウラディミール・ソフロニツキーというピアニストをご存知でしょうか。あのリヒテルやギレリスも心酔し、伝説のピアニストとして今なお熱狂的なファンを持つ鬼才です。彼はスクリャービンの伝道者として特に有名でした。スクリャービンと言えば、神秘和音を生み出し、ピアノの魅力を追求した作曲家です。かれの演奏を聴いたことがある人は、その演奏の不思議な響きに圧倒されたことでしょう。ソフロニツキーは濁る一歩手前までペダルを多用します。しかし、そのペダルの効果は決して不快な残響を生むことはなく、それどころかこの世のものとは思えない不思議な響きを生み出しています。当たり前ですが、ソフロニツキーがどのようにそのような響きを生み出すようなペダルの使い方をしているのか、わたしには到底わかりません。しかし、ソフロニツキーは恐らく、「響きを混ぜる」という視点からペダルを使っていると思います。響きを混ぜる感覚は、単音の音色に対するこだわりより、より高度で抽象的なものです。特にスクリャービンやドビュッシーなどの作曲家を演奏するときに、とても必要な感覚です。響きを混ぜるような感覚で演奏するとき、聴いている聴覚はとてもワイドな感覚になります。普段より、さらに大きな視点で音楽を見ることが出来なければ、その感覚を覚える事は出来ません。しかし、そのワイドな視点とは裏腹に、ペダリングの技術は繊細そのもの。何度も踏み替えたり、ペダルを踏む深さを様々に調節したりします。まさに大きな視点と小さな視点を同時に持たなければならない、とても難しいものです。少し間違えればとても濁った響きになってしまう。しかし、そのすれすれのラインで響きをコントロールし、壮絶な響きの世界をソフロニツキーは創り上げています。そのような響きをどのように生み出すかは恐らく言葉では説明しようがないですし、自分の耳と相談しながら試行錯誤の連続です。しかし、響きを混ぜるという感覚を少しでも目の前で実現することができれば、さらにピアノの奥深い世界の虜になってしまうと思います。みなさんも是非、既成概念に囚われず、自分だけの響きを追求してください。