更新日:2016.06.16
【忘れられない演奏①】~椿音楽教室~
厳密に言えば、人生においてはじめての舞台は小学校三年生の時で、フルートを習い始めてから1年間も経たずある子供タレントコンクールに参加した時だった。人生で初めて、皆の前で「牧童のピッコロ」というフルートのソロ曲を披露し、評価された。あの時優勝賞をゲットしたものの、あまりにも昔のことでよく覚えていなかったので、今一番印象に残った演奏はやはり中学校二年生の頃、学校バンドの成立25周年コンサートで何百人のお客さんの前で、モーツアルトフルート・コンチェルトニ長調K.314、第1楽章から第三楽章までやり通した事だと思う。しかも、カデンツァも含まれているものだった。カデンツァというのは、一つの楽章の終わりに無伴奏で技巧的なソロ部分を演奏するもののことを指している。伴奏さえあればバンドの仲間達に支えられているのでそんなに怖くなかったけれど、完全な一人芝居のカデンツアとなると緊張感がマックスだった。いくら準備をしたとしても、何百人の視線を浴びていた時には緊張せずにはいられなかった。もちろん、多くの人々に注目されることを楽しんではいたものの、その代わりにプレッシャーも半端ではなかった。「練習通りすればいい」と自分に言い聞かせつつも、同時にお客さんの期待に応じて一所懸命演奏しようと思えば思うほど間違いをしてしまってよくできない部分でもあった。
