【蒙古音楽⑥】～椿音楽教室～

この尻尾の毛は、実はこれから述べていく西洋音楽には欠くことのできないものなのである。ヴァイオリン属の弦楽器の弓の毛である。蒙古馬のそれはとくに良質であり、昔から珍重されていた。

蒙古人の主食は羊である。料理は女がする。羊を捕まえ、小刀を心臓の上にちょっとあて、その穴から右手を突っ込んで心臓を握りしめる。ピクリと動くだけである。そのあとその切り口のところから、いとたやすく、あっという間に皮をむいてしまう。
頭を切り離し、内臓を抜いたものを、そのままごろんと鉄の大きな鍋にいれる。
茹で上がるとそのまま客の前に置く。
そしてそこには羊のしゃれこうべも置いてある。焼いてちょっとこがしてある。これは、とくにあなたのためにただいま殺したもので、決して古いものではない、その証拠がこれである、ということをあらわしているのだそうである。それでも嘘をつくやつがいた。羊頭狗肉という言葉が出来ている。