今すぐ無料体験 電話で体験予約
Staff Blog

更新日:2016.12.31

【歌い手への配慮②】~椿音楽教室~

私も少しだけそのイベントに噛ませてもらったのだが、各グループのうちいくつかの作曲家陣が、声優学科の歌い手さんへ歌詞カードとシンセメロのデモだけを放り投げて、譜割り(楽譜の下に歌詞を振り、どのタイミングでどの単語を発音すればいいのかを具体的に記した譜面のこと)も準備せずに置いた、という事案が発生したと言う。いざそのままリハに挑んでみると、歌い手さんは歌詞やメロディの消化が出来ず、曲のほとんどを歌いきれなかったと言う。元々この企画がかなりタイトなスケジュールらしかったため、危うくそのチームがプログラムから外れてしまう危険性もあったという。
 渡したデモに仮歌が入っていたのならともかく、シンセメロだけで譜割りも分からない状況で曲を仕上げろ、と言われたらそれこそ長らくキャリアのある歌手の方でも難しいかもしれない。いや、シンセメロを聞いて「このタイミングでこの単語だな」とある程度の想像を働かせることも出来るのだが、それだと作曲者側の意図したものがストレートに歌手へ伝わらないままレコーディングやライブ本番を迎えることになって仕舞う恐れもあるうえ、一度覚えたメロディは修正が難しい。
 歌手に伝わらない歌は、同じく聴き手にも伝わることはないだろう。
 どれだけタイトなスケジュールでも、奏者や歌い手への配慮は怠ってはいけない。作編曲のスキルのみならず、そういった心遣いもして初めてプロのクリエイターと言えるのだろう。そう強く思わせれくれたイベントであった。