【名刺①】～椿音楽教室～

作曲家もといクリエイターとなると、就職よりもフリーでの活動や一定期間の事務所でのコンペ生活をする者が圧倒的に多いだろう。となると、一般企業に就職し、会社の中で知り合った仲間と働くサラリーマンの方々以上に、我々は自らクライアントを見つける作業が増えてくる。そしてクライアントに対する「アプローチ」の程度が、のち数年の仕事の量・良好なビジネスのパイプに影響を及ぼすことは言うまでもないだろう。
　ビジネスtoビジネスの入り口と言えば、「名刺交換」だ。ここ最近になって初めて、私は名刺を持っていないことがどれだけ不便か、裏を返せば名刺があればどれだけチャンスを作り出すことが出来るか——つまり、名刺の重要性を痛感したのである。学生のうちであれば知人から紹介を受けた後、もう一度顔を合わせるタイミングもあるだろうが、社会人となると一度あった相手と今度はいつお会いするかわからないし、それ以前に先方が自分のことを覚えてくれるか保証など無いも同然だ。そうなってくると、いざ先方が仕事を振る際「今まですっかり忘れていたけれど、そういえばあの時あったあの人はどうだろう？」となった時、名刺や連絡先があると無いとでは状況が180度変わってくる。
　そんなことを考えた私は、いざ名刺を準備しなければと思った。だが、（義行勤めの場合）名刺が企業から支給されるビジネスマンと違って、フリーで活動をする者は名刺を自分で作らなければならないのだ。