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Staff Blog

更新日:2010.01.08

【シンガポールは音楽の砂漠?!】 ~椿音楽教室~

  シンガポールは経済成長目覚ましいが、そのわりには音楽が重視され、発展してきたのはここ数年のことだと考えられる。アジアの中でも比較的遅いかもしれないが、これは仕方がないこと。シンガポールは建国してからわずか51年、とても若い国であり、音楽や芸術を重視しないというより、経済を成長、安定させるまで音楽に時間と金銭をかける余裕がなかったといういい方のほうがいいのかもしれない。その上、現実的には一つ越えられない困難がある。それは、人口が少ないシンガポールの中で楽器をやっている人の数がさらに少なかったこと。その解決法は音楽タレントを“輸入”することだけだった。地元の音楽人材を育てるのは時間と手間がかかるし、直接に必要な人材を“輸入”したほうが手っ取り早く、なによりも外国人の音楽教師にシンガポール地元の人材育成をしてもらうこともできるからだ。例えば、シンガポール・シンフォニック・オーケストラ(SSO)は主に外国人から成り立っていて、中国やヨーロッパのミュージシャンが大半数で約90%占めている。しかし、多くのシンガポール人は外国人だらけのSSOをシンガポールのオーケストラとして見ていない、地元のミュージシャンの割合を増やして欲しいという意見も上げられた。一番見近い事例はRoberto Alvarez氏、私の元フルート講師で、もともと北スペインの音楽学園に勤めていたが、10年前ぐらい妻とシンガポールに移住し、現在SSOのピッコロプリンシプルを兼ねてソロフルートアーティストとして活躍している。
  昔からシンガポール人は音楽にかんして何もわからなく、関心もないと思われていた、とは言うものの、ここ数年から鑑賞力が高まりつつある。コンサートや絵の展覧会に行ったり、子供に音楽授業に通わせたりする人も増える傾向にある。特に2016年リオオリンピックでは、シンガポール史上最初のオリンピック金メダルを獲得した水泳選手ジョセフ・スクーギング氏の事例で、勉強以外も音楽やスポーツなど成功できることを気づかせてくれた。そして、経済成長と収入の安定につれて、物質ではなく精神的な欲望を満たすため、エンターテインメントや娯楽を求める人が増えてきている。
  うれしいことに、その需要に応じて、政府は音楽や芸術において莫大な金銭を投資することを決めた。例えば、音楽に才能がある学生に向け音楽基金の設置や新しく建てられた唯一の国立音楽中高学校、スクール・オブ・ザ・アーツ(School of the Arts)、音楽に限らずドラマやダンスの授業も提供されている。