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Staff Blog

更新日:2016.07.08

【蓄音機②】~椿音楽教室~

店を紹介してくれた後輩の談では「マスターは本当に人が多い日でないと滅多に蓄音機を出さない」のだそう。なんとも運のいい日である。ホルンケースのようなそれの蓋を開け、紙のカバーに納められたレコード盤をセットする。曰く、片面はウィンナワルツが収録されているのだそう。
 針がレコードに触れた瞬間、聴こえてきた暖かい音といったら! レコードの回転具合によって変わる変調、かすれつつも温かみのある音色。電動ではない完全な手回し蓄音機だったため、電気を通さぬ生の音が聴けた。
 CDは、人間の可聴限界と言われる20Hzより下・2kHzより上で鳴っている音をバッサリとカットしてしまう。だが、蓄音機はまず帯域のカットという概念がないので、俗に“雑音”と呼ばれるものたちまでが私たちの耳に届く。蓄音機の奏でるレコードの音がかくも素晴らしいものだとは、実際の音を聞くその瞬間まで考えてもみなかった。その日が紛れもなくハッピーな1日となったのはまず間違い無い。
 もし本物の蓄音機の音を聴く機会に恵まれたら、絶対に逃さない方がいいだろう。