更新日:2025.03.02
トランペット初心者のための基本知識や始め方まとめ!

トランペットといえばオーケストラや吹奏楽で使われる初心者には難しい楽器のイメージがありませんか?
しかし、正しい知識と練習方法を知ることで初心者でもトランペットの演奏ができます。 そこで、本記事ではトランペット初心者に向けた基本知識や始め方についてお伝えします。
目次
トランペットはどんな楽器?
トランペットの歴史や仕組み、音色の特徴についてお伝えします。 まずトランペットの歴史を解説します。
トランペットの歴史1.紀元前
トランペットの歴史は、紀元前までさかのぼります。 紀元前のトランペットは、音階を作るバルブ装置はなく、木または茎で作られた一本の管のみでした。そこから時代が進み、青銅や銀などの金属で作られます。
しかし、この当時はまだ音楽として使われることはなく、宗教儀式や軍隊などの合図や信号音として使用されていました。
トランペットの歴史2.14世紀以降
14世紀になると金属製の長管のトランペットが作られ、徐々に音楽の世界での活躍が始まりました。 そして、バロック音楽の時代と呼ばれる17世紀初めごろから旋律が奏でられるようになりました。(バロック音楽の時代とはバッハが亡くなった1750年までの約150年間を指します。)
この当時はまだバルブ装置が無く、演奏者の唇のみで音色を奏でていたので、高度な技術が必要とされる楽器でした。
トランペットの歴史3.18世紀以降
1815年頃になるとバルブ装置が開発されたことで優れた演奏性と安定した音質が生まれ、トランペットが普及します。 今ではさまざまな音楽ジャンルで活躍する金管楽器の王様になりました。
トランペットの仕組み
トランペットはメインの管の真鍮(しんちゅう)と3個の短い管で作られています。 真鍮(しんちゅう)の途中に3個の短い管があり、この短い管を3つのバルブで操作して音階を鳴らします。
3つのバルブは「1番ピストン」「2番ピストン」「3番ピストン」と呼ばれ、以下の特徴があります。 1番ピストンは人差し指、2番ピストンは中指、3番ピストンは薬指で押さえます。 この3個のバルブの組み合わせは全部で8種類あります。
しかし、トランペットはバルブを使っても音階がまだ不安定なので、唇の振動で音階を微調整する必要があります。 最近では1番ピストンと3番ピストンに「チューニング・スライド」という管長を自由に微調整できる機能が考案され、これまでよりも簡単に音階の微調整が可能となりました。
トランペットの音色
トランペットの音色の特徴は、華やかな明るい音色と鋭いアタック音です。 ビッグバンド、クラシック、ジャズ、ポップスなど幅広い音楽ジャンルで活躍しています。
トランペットの種類と吹き方のコツ
ここではトランペットの種類や吹き方のコツについてお伝えします。トランペットをこれから始める人はぜひ参考にしてみてください。
5種類のトランペットを紹介
おもなトランペットの種類は以下のとおりです。
・B♭管トランペット・・・一般的に「トランペット」と呼ばれるものはB♭トランペットのことを指します。 オーケストラや吹奏楽、ジャズなどさまざまなジャンルで使われるのが特徴です。 そのため、最初に手にするトランペットはB♭トランペットという方も多いです。
・C管トランペット・・・B♭管トランペットの次にメジャーなのがC管トランペットです。 B♭管トランペットに比べて、主管が短く、音色が華やかなのが特徴です。 主にクラシック音楽の演奏で使われることが多いです。
・ピッコロ・トランペット・・・管の長さがB♭トランペットの半分で1オクターブ高い音域を出せるのが特徴です。 明るく華やかな音を奏でられるので、オーケストラや吹奏楽、バロック音楽の演奏に多く用いられます。 しかし誰でも高音域を出せるわけではなく、唇の振動をその音域に合わせる必要があるので、演奏するには高い技術が必要です。
・コルネット・・・トランペットの管が円錐状で、柔らかくまろやかな音色が特徴です。
(1)ショートコルネット おもに吹奏楽やジャズ、イギリスのブリティッシュバンドでよく使われます。また、サイズが少し小ぶりのため小学校のブラスバンド使われることもあります。
(2)ロングコルネット おもにトラディショナルジャズで使われています。音色はB♭トランペットとショートコルネットの中間といった感じです。
どちらも音域はB♭トランペットと同じでトランペットよりも巻きが多いため少し音が出しやすいのが特徴です。現在流通しているのがショートコルネットの方で、ロングコルネットは現在ほとんどのメーカーが生産を停止しています。
・フリューゲルホルン・・・ホルンという名前が入っていますがトランペットの仲間です。 コルネットと同じ円錐状ですがコルネットより管が太く、柔らかくて暖かみのある音色が特徴です。 おもに吹奏楽やジャズ、ブラスアンサンブルで使われています。
他にもロータリートランペットやD管トランペット E♭管トランペットなど少し特殊なトランペットも有ります。
吹き方のコツは力任せに吹かないこと
トランペットの吹き方のコツは、力任せに吹かないことです。 力任せに吹こうとするとアパチュア(息の通り道)が大きくなるので、中音域は出ても高音域が出にくくなります。
また、音がかすれる場合もアパチュア(息の通り道)の大きさが原因です。 最初は小さな音を出し、きれいに鳴ってきたら徐々に強く吹くのが上達のコツです。
初心者におすすめなトランペットの選び方
初心者の方は最初にB♭トランペットを買って練習し、その後演奏したいジャンルのトランペットに買い替えるのがおすすめです。 B♭トランペットは幅広い音楽ジャンルに対応でき、初心者でも扱いやすいトランペットです。
金額は数万円から30万円を超えるものまでありますが、15万円前後であればステージでも使える本格的な音が出せます。 もし一人で購入するのが不安な方は、音楽教室の先生や楽器屋さんに相談しましょう。 楽器屋さんでは試奏も可能なので、自分の耳で音を確認するのがおすすめです。
トランペットのお手入れの仕方
トランペットはお手入れをしないと変色したり金属の劣化を起こしてしまいます。 そこで、お手入れに必要なアイテムと「演奏前」「演奏後」に分けたお手入れ方法をお伝えします。
お手入れに必要なアイテム
トランペットのお手入れの準備として以下のアイテムを用意しましょう。
アイテム | 用途・特徴 |
---|---|
バルブオイル | トランペットのピストン用のオイルでピストンの動きを滑らかにします |
スライドグリス | 抜差し管の気密を保ち、錆や摩耗を防ぎます |
チューニングスライドオイル | トリガー付きの第1、第3ピストン用のオイルで、軽く滑らかなスライド動作が長時間持続します |
スワブ | 紐と布がくっついたもので管楽器内部の掃除に使います |
演奏前のお手入れ方法
部位ごと以下のようなお手入れを行いましょう。
部位 | 手順 | 使用する潤滑剤 |
---|---|---|
バルブのピストン | 1. 傘蓋を外す 2. ピストンを抜く 3. ピストンの下半分に塗布 |
オイル |
主管 | 1. 主管を引き抜く 2. 塗布 |
スライドグリス |
1番管 | 1. 1番ピストンを押す 2. トリガーを抜く 3. 塗布 |
チューニングスライドオイル |
2番管(ボア) | 1. 2番ピストンを押す 2. 2番管を抜く 3. 塗布 |
スライドグリス |
3番管 | 1. 3番ピストンを押す 2. トリガーを抜く 3. 塗布 |
チューニングスライドオイル |
演奏後のお手入れ方法
演奏後はマウスパイプにたまった水分を取り除きます。 主管、1、2、3番管を抜き、抜いた主管の穴からマウスピースに向かってスワブを通して、水分を取ります。
トランペット初心者におすすめな練習曲3選
トランペット初心者におすすめな練習曲は以下の3つです。
- 聖者の行進
- きらきら星
- ハッピーバースデー
おすすめの理由としては、スローテンポで高音域が少なく音階がシンプルだからです。まずはこの3曲をクリアして難しい曲にチャレンジしましょう。
初心者におすすめなトランペットの学び方
これからトランペットを学ぶ方は音楽教室でプロから学ぶのがおすすめです。 トランペットはギターやピアノと違い、音を出すこと自体が難しい楽器です。
そのため、初心者の方が独学で練習を始めると、音も出せずに挫折することがあります。 その点音楽教室では一人ひとりに合わせた練習方法や正しい吹き方を教えてくれるので、上達のスピードが上がります。
継続して上達するための練習のコツとモチベーション維持のポイント
トランペットは音を出す段階から難易度が高いと言われる楽器ですが、練習方法を工夫すれば初心者でも着実に上達できます。効果的な練習方法と継続するためのモチベーション維持策をご紹介します。
練習スケジュールを小分けにする
1回に長時間練習するよりも、1日15〜20分程度を毎日続ける方が、唇や呼吸の感覚を忘れにくく効果的です。短時間でも毎日触れることで、口の形(アンブシュア)が定着しやすくなります。自分のライフスタイルに合わせて、無理なく継続できる計画を立てましょう。
録音や動画撮影で自分の演奏を客観的にチェックする
音が出しづらい部分や音程のズレ、息の使い方などを客観視することで、課題点が明確になります。最初は思うような音が出なくても、録画を比較すれば少しずつの成長を感じられるはずです。上達を実感できればモチベーション維持にもつながるでしょう。
防音室や練習用ミュートを活用する
音量が気になる方は、防音設備や練習用ミュートの活用も検討しましょう。周囲を気にせず練習できる環境があれば、自宅での練習ハードルが下がり、よりこまめにトランペットを手に取る機会が増えます。数分でも唇を慣らす時間があるだけで、唇の筋力や息遣いをキープしやすくなります。
同じ楽器仲間と交流する
モチベーションアップに最も効果的なのは、同じ楽器を演奏する仲間との交流です。SNSや地域のサークルなどで情報を共有したり、アンサンブルを組んでみると、楽しみながら上達できます。他の奏者の音色や技術から学ぶことも多く、刺激を受けながら練習を続けられます。トランペットの魅力を味わいつつ、コツコツと練習を重ねていきましょう。
まずはトランペットにチャレンジ!
トランペットを始める際は、まずは基礎知識を習得してどんどんトランペットに触れてみることが大切です。 トランペット教室では、まだトランペットを持っていない方でも借りて練習できるところもあります。
また、椿音楽教室では、無料体験レッスンを実施しているので、まずは悩む前にトランペットにチャレンジしてみましょう。
初心者向けのトランペットに関するよくある質問
初心者向けのトランペットに関するよくある質問をまとめています。
初心者におすすめなトランペットは?
-
初心者でも扱いやすいB♭トランペットをおすすめします。B♭トランペットは音域も幅広く様々な音楽ジャンルに対応が可能です。
初心者はどのようにトランペットを学べば良いですか?
-
まずはトランペット教室などに通い、上級者から直接教えてもらうことをおすすめします。独学であれば費用は最小限に抑えられますが、悪い癖が付いてしまったり、モチベーションが下がってしまうなどデメリットもあります。
トランペット初心者におすすめな練習曲を教えてください。
-
まずは、スローテンポで高音域が少ない曲がおすすめです。次の曲を参考にしてみてください。
- 聖者の行進
- きらきら星
- ハッピーバースデー
この記事を監修した講師

橋本和樹
楽器
トランペット
【橋本和樹先生監修コメント】
トランペットの魅力は何と言っても華やかで目立つ所です!どの管楽器にも言える事ですが、最初は音が出しづらいです。その分他の管楽器よりも扱い易くコツを掴むのが早い方です。 価格も手ごろな物もあるので、是非トランペットにチャレンジしてみてください!