更新日:2024.10.11
腹式呼吸の練習方法とは?正しい腹式呼吸のやり方をマスターしよう

「腹式呼吸ができるようになりたいけど練習方法が分からない」「正しい腹式呼吸の仕方を知りたい!」
このように悩んでいる人も多いのではないでしょうか。腹式呼吸は一度にたくさんの息を取り込み、速やかに呼気を排出するための呼吸法です。
腹式呼吸が出来るようになるとインナーマッスルが鍛えられるので、姿勢が良くなったりダイエット効果があったりと多くのメリットがあります。
そこで本記事では腹式呼吸の効果とその練習方法について解説します。音楽をする上で腹式呼吸が大切である理由についても紹介していますので、ぜひ練習の際の参考にしてください。
目次
腹式呼吸とは
腹式呼吸とは「横隔膜」を使っておこなう呼吸法です。
そもそも、呼吸をするための肺自体には筋肉がないので伸び縮みすることができません。そのため人間は、肺の周りにある横隔膜や筋肉、骨が動くことで呼吸をしています。
横隔膜は、肋骨や肺などがある胸部と大腸や小腸などの臓器がある腹部を仕切る役割をしているドーム型の筋肉です。この筋肉を使うと一度に多くの空気を取り込むことができます。
胸式呼吸との違い
胸式呼吸は、肋骨を上げ下げすることで胸に息を取り込み呼吸をします。
胸式呼吸と腹式呼吸の分かりやすい違いは、息を吸ったときに膨らむ場所です。腹式呼吸は息を吸うとお腹が前に膨らみ、胸式呼吸は胸(肺)が横に膨らむようなイメージで大きくなります。
また、優位となる神経も異なります。腹式呼吸を使うと身体がリラックスしている時に働く副交感神経が優位なるのに対し、胸式呼吸では興奮状態の時に優位となる交感神経が働きます。
腹式呼吸がもたらすメリット
沢山の息を取り込めるようになると、身体全体がリラックスしたり代謝が上がったりと沢山のメリットがあります。
腹式呼吸がもたらすメリットは下記のとおりです。
- リラックス効果
- デトックス効果
- お腹周りの脂肪を引き締める
- 歌がうまくなる
- むくみや冷えを改善してくれる
- 持久力が身につく
一つずつ解説していきます。
①リラックス効果
腹式呼吸には自律神経のバランスを整え、身体と心をリラックスさせる効果があります。
鼻からゆっくり、落ち着いて呼吸を繰り返すことで、体内は副交感神経が優位になっていきます。それによって心と身体の緊張がほどけ、脱力した状態となります。
仕事や学校で緊張やストレス、イライラを感じたときには腹式呼吸を何度かしてみると気持ちが楽になるかもしれません。寝る前の習慣として取り入れるのもおすすめです。
②デトックス効果
腹式呼吸は多くの酸素を取り込む効果があるので、必然的に血中酸素濃度が上がります。その酸素量は胸式呼吸に比べ、約3〜5倍も異なるといわれています。
血中酸素の濃度が上がると全身の細胞に酸素が行き渡り、老廃物や二酸化炭素といった身体から必要のないものが外に排出されやすくなります。
新陳代謝もよくなるので、疲労の回復を早める効果にも繋がります。
③お腹周りの脂肪を引き締める
腹式呼吸はお腹にある筋肉を沢山使います。そのため、必然的にインナーマッスルが鍛えられ、ウエストについた脂肪を引き締めるというダイエット効果にも期待できます。
ダイエット効果をより高めるためには、腹式呼吸をしながら腹横筋を鍛えるドローインというトレーニングがおすすめです。お腹周りが気になる方はぜひ取り入れてみてください。
④歌が上手くなる
腹式呼吸をすると息を上手くコントロール出来るようになるため発声が安定します。喉に負担をかけないので、通りやすく、大きな声が出るようになります。
ミックスボイスやハスキーボイスなど、息の量が必要なテクニックもやりやすくなるので、スキルアップもできますよ。長時間歌を歌うようなアーティストからすると、腹式呼吸を使った発声は喉を傷めないため必要不可欠なやり方です。
⑤むくみや冷えを改善してくれる
腹式呼吸はむくみや冷えを改善する効果もあります。
血管の収縮は肩こりや冷えの原因です。そこで腹式呼吸で副交感神経を優位にし、血管を広げてあげることで冷えを改善することが可能です。
また、横隔膜が動き、内臓が刺激されることによって便秘の解消にも役立ちます。便秘は肌荒れや病気の元となるので、これらの予防効果もあるといってよいでしょう。冷え性で困っているという人はぜひ生活の一部に腹式呼吸を取り入れてみてください。
⑥持久力が身につく
腹式呼吸はスポーツでも役立ちます。特に持久系のスポーツをしている場合は練習時に腹式呼吸を意識してみるのがおすすめです。
走っているときに息が苦しいのは浅い呼吸が原因です。大きく息を吐くことを意識するだけで、乳酸という疲労物質の増殖を抑え、エネルギーを作り出す働きを促進します。
呼吸でリズムを作り、そのリズムで走ることでスピード速く、かつ楽しく走ることができますよ。
音楽をする上で腹式呼吸が大切な理由3つ
腹式呼吸ができるようになるだけで音楽の幅を大きく広げることができます。音楽をする上で腹式呼吸が大切な理由をそれぞれ解説していきます。
①肺活量が上がる
腹式呼吸が出来るようになると横隔膜を動かす筋肉が鍛えられます。それによって肺が大きく膨らむようになるため、一度に取り込める空気量もアップし肺活量が上がります。
肺活量が上がると胸式呼吸に比べて吐く息の量が大きくなるため、下記のような効果を得られます。
- 太い声が出せるようになる
- ロングトーンが安定する
- 息がより長続きする
②全身を上手く使える
腹式呼吸ができるようになることで、体幹が安定するので身体全体をうまく使えるようになります。体幹が整うことにより姿勢がよくなるので、発声がしやすくなりますよ。
また、胸式呼吸をする時よりも腹式呼吸は重心が下がります。しっかり体を支えることができるので、身体全体が楽器になったかのように音を響かせやすいというのもメリットといえるでしょう。
③ブレスコントロールができるようになる
胸式呼吸によって身体の土台がしっかり固まれば、声量や音程を自由自在に調整できます。呼吸量をコントロールしたり、息をか細く長く出し続けたりといったブレスコントロールが簡単にできるようになりますよ。
また、胸式呼吸は喉や声帯周辺に力がかかりやすい傾向にありますが、腹式呼吸は身体が適度に脱力しリラックスした状態です。
胸式呼吸に比べ、声を出すのに必要な部分に無駄な力が入らないので、力みのない発声、演奏ができます。
腹式呼吸の練習方法
腹式呼吸のメリットが分かったら、次は実際に腹式呼吸を練習してみましょう。腹式呼吸に慣れていない人は、まず寝た状態から練習をするのがおすすめです。
下記手順に沿って腹式呼吸の感覚を掴んでみてください。
- 仰向けになる
- 胸とお腹に手を置く
- 鼻から息を吸い込み、お腹が膨らむのを手で確認する
- お腹の力を抜いてゆっくりと息を吐く
息を吐くときは口をすぼめ、吸うときの2倍くらいの時間をかけてしっかり吐ききりましょう。目安としては6秒ほどです。
仰向けでできるようになったら体を起こし、座ってやってみたり立ってやってみたりしましょう。体を起こすときには背筋を伸ばしてやるのがポイントです。
腹式呼吸はやりすぎると頭がクラクラすることがあります。慣れるまでは一日10回程度まで、慣れたら10〜20回ほどに回数を増やして練習するのがおすすめです。
腹式呼吸をするときの注意点
腹式呼吸を練習する際に気をつけるべき注意点について解説します。
口ではなく鼻で呼吸をする
腹式呼吸は息を吸う時に鼻、吐く時に口を使うと、よりわかりやすいです。
息を吸うときに口を使ってしまうと呼吸が浅くなりやすく、たくさんの空気を取り込めないため、意識的に使い分けるとより身につきやすいことを覚えておきましょう。
肩や胸が動かないように意識をする
腹式呼吸を練習するときは胸とお腹の両方に手を当て、お腹の方へしっかり空気が入っているかを確認しながらおこないましょう。
息を吸った時に胸においた手が動いていなければ腹式呼吸ができている証拠です。胸が膨らんでしまう場合は「ほ」の口で息を吸うことを意識してみてください。
また、時には鏡を見ながらやってみるのもおすすめです。肩が上がっていないかを確認しながら腹式呼吸を練習してみましょう。
筋肉が緊張しないようにリラックスする
筋肉が緊張していると本来取り込めるはずの量の息を吸うことができません。
そのため、腹式呼吸を練習する前には簡単なストレッチをして準備体操をしておくのがベスト。腕を上にあげ、左右に伸びをしながらお腹周りの筋肉を緩める体操をすると、腹式呼吸の練習がより一層やりやすくなるでしょう。
腹式呼吸のやり方を知って歌を上手く歌えるようになろう
本記事では腹式呼吸の効果とその練習方法、音楽をする上で腹式呼吸が大切である理由について解説しました。
腹式呼吸や息の量のコントロールはすぐに習得できるものではありませんので、毎日10分でもコツコツ練習することが大切です。
歌がうまくなりたいなら、まずは腹式呼吸で土台をしっかり作り、発声しやすい身体を作りましょう。土台ができれば歌詞に感情が載せやすくなるので、聴き手が感動するような歌を歌えるようになりますよ。
また、ボイストレーニングに通って正しい発声方法といった基礎はもちろん、歌い方や声の出し方を見てアドバイスをもらうのもおすすめです。
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腹式呼吸に関するよくある質問
ここでは腹式呼吸に関するよくある質問をご紹介します。
腹式呼吸の練習方法を教えてください。
腹式呼吸の練習方法は以下の通りです。
- 仰向けになる
- 胸とお腹に手を置く
- 鼻から息を吸い込み、お腹が膨らむのを手で確認する
- お腹の力を抜いてゆっくりと息を吐く
腹式呼吸の注意点は?
腹式呼吸の注意点は以下です。
- 口でなく鼻で呼吸する
- 肩や胸が動かないように意識をする
- 筋肉が緊張しないようにリラックスする
腹式呼吸でなぜ痩せるのですか?
腹式呼吸が出来るようになるとインナーマッスルが鍛えられるので、ダイエット効果があるとされています。
参考:呼吸の常識が変わる!歌の上達に欠かせない「腹式呼吸」のやり方とは?<ともきゃんのボイトレ生活>
参考:【コラム】声を使う基本は腹式呼吸!<One’s Voice>
この記事を監修した講師

木村 実央
洗足学園音楽大学声楽コース卒業。同大学院音楽研究科声楽コースを修了。
オペラ〈フィガロの結婚〉バルバリーナ、オペラ〈ヘンゼルとグレーテル〉露の精役オペラ〈魔笛〉夜の女王の役で出演。
洗足学園音楽大学コールファンタジアに所属して、BS- TBS「日本名曲アルバム」等に出演。
演奏活動と同時に私立小学校の非常勤音楽科講師や、子どもの合唱団のボイストレーニングなどををとおこなっている。
楽器
声楽・ボーカル,声楽,ボーカル,ソルフェージュ・楽典
【木村 実央先生監修コメント】
声は誰もが持つ楽器です。正しい呼吸が伴った歌声は、聴いてる人はもちろん歌っている人も心地が良いものです。 しっかり身につけるには時間がかかりますが、きちんと正確な訓練でどなたでも習得できるものなので、輝く声をめざして頑張りましょう。