更新日:2023.06.02
指揮者の役割とは?なるにはどうすればいい?

演奏や歌声をまとめあげて音色やテンポを操る指揮者は、楽団にとって欠かせない存在です。
そんな演奏の司令塔とも言える仕事に憧れて「自分も目指したい!」と考える人もいるのではないでしょう。
指揮者を目指すためには資格や学歴が必要なのでしょうか。
この記事では、指揮者の役割やなり方について解説します。
目次
指揮者の役割
演奏において絶対に欠かすことのできない指揮者は、一体どんな役割を担っているのでしょうか。
まずは、そのおもな役割について知っておきましょう。
1.演奏者のまとめ役となること
指揮者のもっとも大きな役割は、演奏者のまとめ役とし、まとめた結果、作品に一つの思想や個性を与えることです。
他の職業に例えると、映画監督や舞台演出家、バレエの振付け師ような存在とも言いかえられます。
楽団のメンバーは、指揮の指示ひとつで強弱や緩急をコントロールします。
指揮者が的確な指示を出すことで、一丸となってその時々に最適な演奏をすることが可能となるのです。
もしも指揮のない状態で演奏するとなると、それぞれのメンバーが自分の解釈で思い思いの演奏するので、まとまりのない演奏に仕上がってしまいます。
すべての解釈や楽器を統率し、きれいにまとめあげることが指揮者の最大の使命なのです。
2.演奏者の表現力を高めること
演奏者の表現力を高めることも、指揮者の役割です。
練習へ入る前に譜面を見ながらすべてのパートの音程やリズム、音の強弱を頭に叩き込み、作品解釈や表現方法について分析します。
その内容を指揮を通して演奏者に伝えることで最適な演奏を引き出し、表現力を高めていくのです。
ただ楽譜通りの演奏をするだけであれば、練習を積めば演奏者だけでもできます。
しかし、そこからさらにワンランク上の仕上がりにするためには、指揮の存在が欠かせません。
指揮者に必要な資格やスキル
ときには演奏者よりも深いスキルや表現力が欠かせない指揮者を目指すためには、一定のスキルを身につける必要があります。
ここからは、指揮者に必要となる資格やスキルについて解説します。
指揮者に資格は必要ない
意外かもしれませんが、指揮者を目指すうえで資格を取る必要はありません。
音楽の資格を一切持っていなくても、指揮者として活躍している人は多く存在しています。
ただし、音楽についての理解を深めるための訓練をしていない人がいきなり指揮者になることは、当然のことながら不可能です。
音楽学校や楽団などで見習いをしながら勉強し、スキルを身につけることで、ようやく指揮者として活躍する機会がもらえるようになります。
必要なスキル1.音楽の知識
指揮者には、音楽に関する専門的な知識は欠かせません。
指揮者は幅広いジャンルを指揮する機会があるため、包括的な音楽の知識を学んでおく必要があります。
音楽についての知識が少ない人が指揮する場合、演奏家と対等に話し合ったり演奏時の指揮に従ってもらったりすることは不可能です。
ある種のカリスマ性が必要な職業のため、誰にも負けない音楽の知識を身につける必要があります。
必要なスキル2.楽譜を分析して理解する力
楽譜を分析して理解する力も、指揮者には欠かせないスキルです。
楽譜には音程や強弱など必要な情報が記載されていますが、それ以外の情報については非常に曖昧になっています。
指揮者には、この曖昧な情報を分析し理解を深めることで、楽譜からはわからない作曲者の気持ちや最適な表現法を見つけていくことが求められます。
例えば、演劇をしている人が台本を渡されていきなり演技をしろと言われても、そこに込めるべき気持ちや最適な表現方法はわかりにくいものです。
そこで監督が演技指導をすることで、よりよい作品に仕上げられるようになります。
このように、楽譜を分析・理解してその内容を各パートに指導できる力が、指揮者には必要なのです。
指揮者になるためのステップ
指揮者になるためには、大きく分けて2つのルートがあります。
なかには異色の経歴を持つ人もいますが、ここではもっともオーソドックスな目指し方についてお伝えします。
まずは音楽学校を卒業する
どの方法で指揮者を目指すにせよ、音楽学校の卒業はほぼマストと言っていいでしょう。
短期大学の音楽学科や音楽大学の演奏学科などでも構いませんが、指揮科を卒業しているとスムーズにステップアップができます。
音楽学校の指揮科では、ソルフェージュや声楽、器楽や作曲などといった指揮の基本となるスキルが学べます。
在学中に優秀な成績が残せれば、先生などから声がかかり、楽団などにつないでもらえるケースもあるでしょう。
1.楽団に所属する
音楽学校を卒業したら、より実践的な経験を積んで指揮者を目指していきましょう。
卒業生は、楽団に所属して実績を積んでいくことになります。
他の楽器などと同様、指揮者として採用してもらうことは相当の実績がないと難しいため、まずは見習いとして入団することになるでしょう。
さらに、指揮者の募集件数は非常に稀なため、採用されるためには狭き門をくぐり抜ける必要があります。
2.弟子入りする
目標としている指揮者がいる場合は、学校を卒業したあとに弟子入りして見習いをするケースもあります。
見習いとして指導を受けながら、アマチュア楽団のコンクールや指揮者コンクールでスキルを磨きましょう。
こういった見習いやアマチュアとしての活動を経てからプロの組織を探し、実際に入団し指揮者として活動する人もいます。
有名指揮者の弟子になることは難しいですが、実力がつけばオファーが殺到する人材になれる可能性があるかもしれません。
3.音楽留学をする
より高レベルなスキルの取得を目指したいなら、留学も検討しましょう。
優秀な指揮者は、日本だけではなく世界中にいます。
活動の幅を世界に広げることで、日本で学べない知識やスキル、価値観を身につけられるでしょう。
海外留学で世界的に有名な音楽家と知り合えれば、指揮者として開花するチャンスを得られるかもしれません。
より活躍できる人材になりたい場合は、ぜひ海外で経験を積むことも検討してみてください。
独学で指揮者になれる?
指揮者はスキルさえあれば資格は必要ありませんので、独学でもできそうに思えるかもしれません。
実際、学校に通わずに指揮者として活躍している人物は日本に存在しています。
しかし、音楽理論や楽曲分析スキル、聴力などが欠かせない指揮には、高度な知識や理解力が必要です。
すべてのスキルを独学で身につけるのは、非常に難しいことだと言えるでしょう。
したがって、全くの初心者が独学で指揮者を目指すことは非常に難しいのです。
ただし、もともとピアノやバイオリンなどの楽器を演奏していて音楽の基礎を知っている人が、そこから独学で指揮者を目指すことは十分に可能です。
どのような手段で目指すにせよ、早い段階でベースとなるスキルを身につけておくことが大切になります。
指揮者を目指すなら音楽のスキルを身につけよう!
すべての演奏者をまとめあげ、表現力を引き出す指揮者は、よりよい演奏をするためには欠かせない司令塔のような存在です。
指揮者を目指すうえでは、音楽の基礎だけではなく分析力やリーダーシップも必要なため、音楽学校や実務経験の中でスキルを身につけていく必要があります。
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- 指揮者になるにはどうすればよいですか?
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まず音楽学校を卒業したあと、「楽団に所属する」「弟子入りする」「音楽留学をする」といった流れでプロの指揮者になるケースが多いです。
- 指揮者の役割はどのようなものですか?
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指揮者は演奏者のまとめ役となることが求められます。また、同時に演奏者たちに最適な演奏を引き出し、表現力を高めることも役割となります。
- 指揮者になるには資格が必要ですか?
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資格自体は必要ありませんが、音楽に関する幅広い知識は欠かせません。
【三原明人先生監修コメント】
コラム自体が大変立派に指揮についての内容を網羅しているので、このままよく読んでいただければ良いかと思います。 ただ、いろいろなことが書いてあるので大変過ぎて自分には無理じゃないかと尻込みしてしまう方がいるかもしれません。しかし本当に指揮者になりたいという方は、それでもなりたい!という情熱を持つことが大事です。どんなことも、やりたいという気持ちが何事も動かすのです。
この記事を監修した講師

三原明人
楽器
指揮