公開日:2023.04.19 更新日:2023.05.31
巻き舌のやり方とは?メリットやできない原因、おすすめの練習曲も紹介

「巻き舌って難しそう…」「巻き舌ができるようになりたい」
このようなお悩みをお持ちではありませんか?
巻き舌をマスターすれば、外国の歌を歌えるようになったり、他の人より上手く聴こえるようになったりします。
今回は以下の内容について解説します。
- 巻き舌の練習方法
- 巻き舌のメリット
- 巻き舌ができない理由
- 巻き舌の練習におすすめの曲
ぜひ最後までお読みください。
目次
巻き舌とは?
巻き舌は、舌を使用した子音の調音方法の1種です。息を吐いたときに舌が外に流され、筋力によって元に戻る現象を指します。
巻き舌は舌を巻いて発音すると考えられがちですが、実は間違いです。舌が顎に叩きつけられたときに自然に震えることで、巻き舌になります。巻き舌は、イタリア語やフランス語などでは頻繁に使用されます。一方日本語の発音では、巻き舌を使用することはありません。そのため日本人にとって巻き舌は、少し難しいと言われています。
巻き舌を練習するときは、た行・だ行を発音するときより少し後ろに下を置くと、やりやすいです。
巻き舌のやり方5選
巻き舌のやり方は下記の5つです。
- 舌を震わせる
- 「ラ」の発音が多い言葉をを繰り返す
- 同じ単語を4回繰り返す
- ラタトゥラ発声法をおこなう
- 巻き舌が多く使われている曲を歌う
始めは難しいですが、少しずつ練習を積み重ねてみましょう。1つずつポイントを解説します。
①舌を震わせる
1番スタンダードな練習方法で、舌を振動させるときは、口元に力を入れずにリラックスさせておこなうのがポイントです。
具体的な手順は、下記のとおりです。
- 口を少し開く
- 舌先を上の歯の根元に軽く触れて、上顎の位置に舌を置く
- 舌先を歯から離さずに息を吐き、振動させる
舌の震えを感じたら、10秒以上続けて行いましょう。
②「ラ」の発音が多い言葉をを繰り返す
巻き舌が上手くできるようになるポイントは、ラの発音です。「ら・り・る・れ・ろ」がつく言葉を積極的に繰り返すと、巻き舌のコツが掴めます。
おすすめは「札幌ラーメンとろろ芋」と、ひたすら発声することです。「ら・り・る・れ・ろ」が多く繰り返されているため、言い続けると自然に巻き舌の感覚が掴めます。
他にも「アララララ」「ルルルルル」などの言葉も効果的です。舌が上顎に当たったときに息を吐くと、震える感じが分かりやすいでしょう。
③ 同じ単語を4回繰り返す
②の応用で、同じ単語を4回繰り返すのも効果的な練習方法です。
具体的には「プル・プラ・プル・プラ」「トゥル・トゥラ・トゥル・トゥラ」「アラ・アロ・アラ・アロ」などの発声がおすすめです。
②の練習方法に慣れてきたら、ぜひチャレンジしてみてください。
④ラタトゥラ発声法をおこなう
ラタトゥラ発声法は「ラ、タ、トゥラ」を、3ステップに分けて練習します。
- 「ラ」を連続して発声し、だんだんスピードアップする
- 「タ」を連続して発声し、だんだんスピードアップする
- 「トゥラ」を連続して発声し、限界までスピードアップする
最初はゆっくりと発声し、だんだんスピードアップさせるのがポイントです。「トゥラ」は、慣れてきたら限界までスピードアップしてみましょう。
⑤巻き舌が多く使われている曲を歌う
巻き舌は、曲で練習するのもおすすめです。練習する際は、歌詞の「ら行」を巻き舌にして歌うのがポイントです。曲で練習すると、巻き舌だけでなく、音程を取る練習にもなります。
練習曲は自分が好きな曲で問題ありません。ただ、より効果的に練習したい場合は、「ら・り・る・れ・ろ」が多く使われている曲がおすすめです。
JPOPでは、椎名林檎さんの「本能」が、巻き舌の練習に適していると言われています。
巻き舌を習得するメリット7つ
巻き舌を習得するメリットは、下記の7つです。
- 滑舌が良くなる
- 表現力が豊かになる
- 外国語の歌が歌える
- リラックスして歌える
- ミックスボイスが出しやすくなる
- 歌う前のウォーミングアップになる
- 楽器演奏のバリエーションが広がる
1つずつ解説します。
①滑舌が良くなる
巻き舌は舌を鍛えるトレーニングにもなります。そのためできるようになると舌に筋肉がつき、滑舌が良くなる点がメリットです。特に人前で話をしたり、声を使う仕事をしていたりする人は、滑舌が良いに越したことはありません。
滑舌が悪い人は、舌の筋肉が硬くなっている可能性が高いです。巻き舌を習得すると解消される場合もあります。
②表現力が豊かになる
巻き舌ができるようになると、迫力や臨場感が生まれます。そのため、表現力が豊かになります。また、歌が上手く聴こえる点もポイントです。
例えば同じ歌を歌ったとき、巻き舌ができる人とできない人では歌のクオリティに差がでます。巻き舌で歌える人のほうが、上手く聴こえるでしょう。他の人と差をつけられる点も、巻き舌を習得するメリットです。
③外国語の歌が歌える
巻き舌ができるようになると、外国語の歌が歌えます。特にイタリア語、フランス語、ロシア語などは、巻き舌で単語を発音するため、習得しないと歌うのは難しいです。
特にオペラは、イタリア語で歌う場合がほとんどのため、巻き舌はできたほうがいいと言えます。
④リラックスして歌える
巻き舌は舌をリラックスさせる効果もあり、習得すると無駄な力をかけずに歌えるようになります。歌を歌うときに、舌に力が入ってしまい上手く歌えない人は、下記の3つに当てはまる場合が多いです。
- 舌が後ろに引っ込んでいる
- 緊張している
- 舌の真ん中がくぼんでU字になっている
巻き舌ができると、上記の原因が解消されることがほとんどです。
⑤ミックスボイスが出しやすくなる
ミックスボイスは、地声と裏声の中間で発声した声を指し、ミドルボイスとも呼ばれます。巻き舌を習得すると、地声と裏声の行き来がスムーズになるため、音域が広がる点がメリットです。さらに裏声も出しやすくなります。
⑥歌う前のウォーミングアップになる
巻き舌は「タングトリル」とも呼ばれており、ボイストレーニング前の基礎練習に含まれています。そのため、プロの歌手やアマチュアでも歌が上手い人は、巻き舌を習得し、ウォーミングアップでおこなうことが多いです。
巻き舌は、場所や声の大きさを気にせずにできる点もポイントです。
⑦楽器演奏のバリエーションが広がる
巻き舌は歌だけではなく、楽器演奏でも使用できるテクニックです。
例えばフルートやトロンボーンなどは、巻き舌をしながら演奏する手法があります。これは「フラッター・タンギング」と呼ばれる技法で、舌の振動により音を震わせます。
「フラッター・タンギング」はブルブルと震えたような音が出せるため、演奏のバリエーションが広がる点がメリットです。
巻き舌ができない4つの理由
巻き舌ができない理由として考えられるのは、下記の4点です。
- 舌の筋肉が弱い
- 全身に力が入りすぎている
- 呼吸法が安定していない
- 口や舌の位置が間違っている
「正しい練習方法でやっているのになかなかできない…」という人は、当てはまっていないか確認してみてください。
①舌の筋肉が弱い
巻き舌が上手くできない人は、舌の筋肉が弱っている可能性があります。巻き舌は日本語の発音にはないため、そもそも日常で使用する機会がありません。そのため巻き舌をするための筋肉が育っておらず、上手くできないのです。
舌の筋肉は、筋トレをおこなうことで解消されます。具体的な手順は下記のとおりです。
- 舌を左奥歯の前に置く
- 舌先を右奥歯にスライドする
- 上顎も同じように繰り返す
舌の根元が疲れたり、ピリピリした痛みが出てきたりしたら、正しく筋トレができている証拠です。最初はゆっくりと3往復から始めてみてください。
②全身に力が入りすぎている
巻き舌は息を吐きながら舌を振動させて発声するため、力みすぎは逆効果です。
巻き舌は、常にリラックスしておこなうのがポイントです。舌をリラックスさせるためには、表情筋を柔らかくする必要があります。顔や口元をマッサージするのがおすすめです。
③呼吸法が安定していない
正しい呼吸法ができていないとお腹に力が入らないため、巻き舌が上手くできません。
腹式呼吸を習得して、練習のときからできているか意識するのがおすすめです。
腹式呼吸のやり方は、下記のとおりです。
- 正しい姿勢で肩をリラックスさせる
- ゆっくり息を吸ってお腹の下を膨らませる
- 息を吐きながらお腹の下をへこませる
おへその下にある「丹田(たんでん)」を意識するとやりやすいです。腹式呼吸は巻き舌以外にも使用されます。できるだけマスターしておきましょう。
④口や舌の位置が間違っている
巻き舌を練習する際、口や舌の位置や形を間違えていると、発音が難しいです。特に、口を閉じている、大きく開けすぎている、舌全体が前歯につきすぎている場合は上手くできません。
「口が少し開いているか」「舌先が前歯の根元あたりにきちんとついているか」をチェックし、正しい位置にあるかを確認するのがポイントです。自分で分かるように、鏡を見ながらおこないましょう。
巻き舌ができないのは遺伝の可能性は低い
「巻き舌ができないのは遺伝の可能性がある」と言われる場合もあります。しかし、舌が短い、親ができないなどの理由で、巻き舌ができないとは言い切れません。そのため遺伝の可能性は低いです。
たしかに舌が長い人のほうが、巻き舌がしやすい可能性はあります。ただ舌が長い人全員が巻き舌ができるわけでもないのです。日常的に巻き舌を使用しているイタリア人やフランス人でも、練習してできるようになったという人はいます。
そのため今巻き舌ができなくても、諦めずに練習すればできるようになる可能性はあります。ただ「舌小帯短縮症(ぜっしょうたいたんしゅくしょう)」の場合は、先天的な要素が高いです。
舌小帯短縮症は、舌の裏側にある膜状の組織が舌の先から歯茎に伸びており、舌の動きが制限される先天性の疾患です。日常生活には何の問題もありませんが、巻き舌には不利な可能性があります。
巻き舌におすすめの練習曲3選
巻き舌の練習におすすめの曲を、3つ紹介します。
- 椎名林檎「本能」
- 米津玄師「Flamingo」
- サザン・オールスターズ「勝手にシンドバッド」
3曲とも、巻き舌の練習に有効な「ら・り・る・れ・ろ」の発音が多く含まれています。さらに有名な曲なので、カラオケなどでも練習しやすい点がポイントです。曲の特徴や練習ポイントを解説します。
①椎名林檎「本能」
巻き舌が上手い女性歌手は、椎名林檎さんと言っても過言ではありません。
彼女の特徴は、強い巻き舌です。どの曲も巻き舌が多く使われていますが、練習曲として選ぶ場合は「本能」がおすすめです。「本能」は「ら・り・る・れ・ろ」が強い巻き舌で発音されています。特にサビは強めの巻き舌が連続して出てくるため、良いトレーニングになります。
②米津玄師「Flamingo」
米津玄師さんの「Flamingo」も、巻き舌が多く使用されている曲です。
歌詞に巻き舌を織り交ぜるだけでなく、効果音としても取り入れています。最初は歌詞の巻き舌をマスターするのに精一杯だと思いますが、慣れてきたら効果音にもチャレンジしてみると良いでしょう。
難易度は高いですが、マスターできるとかっこいい曲です。
③サザン・オールスターズ「勝手にシンドバッド」
サザン・オールスターズのボーカルである桑田佳祐さんも、巻き舌が上手い歌手です。実はサザン・オールスターズによって、巻き舌で歌う曲が増えたと言われています。さらに現在の音楽番組では当たり前に見る「歌詞テロップ」も、サザン・オールスターズが関係しています。
当時は巻き舌で歌うという概念が、ほとんどありませんでした。そのため巻き舌だらけのサザン・オールスターズの曲は、歌詞が全く分からなかったそうです。
視聴者がクレームをつけたところ、歌詞が分かるようにテロップがつけられました。「勝手にシンドバッド」は歌えるようになると、カラオケなどでも盛り上がれるため、ぜひ練習してみてください。
まとめ
巻き舌は舌を使用した子音の調音方法の1種で、息を吐いたときに舌が外に流され、筋力によって元に戻る現象です。
日本語の発音は巻き舌を使用しないため、最初は「できない」「難しい」と感じる人もいます。しかし正しい方法で練習すれば、ほとんどの人は巻き舌ができるようになります。今回紹介した練習方法を参考に、ぜひ取り組んでみてください。
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巻き舌に関するよくある質問
ここでは巻き舌に関するよくある質問をご紹介します。
巻き舌について教えてください。
巻き舌は、舌を使用した子音の調音方法の1種です。息を吐いたときに舌が外に流され、筋力によって元に戻る現象を指します。
巻き舌のやり方を教えてください。
巻き舌のやり方は以下の5つです。
- 舌を震わせる
- 「ラ」の発音が多い言葉をを繰り返す
- 同じ単語を4回繰り返す
- ラタトゥラ発声法をおこなう
- 巻き舌が多く使われている曲を歌う
巻き舌の練習におすすめの曲を教えてください。
巻き舌の練習におすすめの曲を、以下の3つです。
- 椎名林檎「本能」
- 米津玄師「Flamingo」
- サザン・オールスターズ「勝手にシンドバッド」