更新日:2023.06.02
トロンボーン初心者への選び方やお手入れ、基礎練習について
スライド管を縮めたり伸ばしたりして演奏をするトロンボーン。
オーケストラの中でも目立つ華やかな音色を奏でられ、テレビCMやポップスなどにも活用されることが多いため、私たちの生活に非常に馴染み深い楽器の1つです。
今回は、これからトロンボーンを始めたいと考えている初心者に向けて、選び方やお手入れ方法、基礎練習について解説します。
目次
トロンボーンはどんな構造の楽器?
まずは、トロンボーンがどのような楽器なのかについて知識を身につけていきましょう。
トロンボーンは、「マウスピース(歌口)」「直線のスライド管」「ベルに向かって広がる円錐状の主管」の3つのパーツで構成されている楽器です。
本体は金属でできており、スライド管を伸縮させたり唇をしめたりすることで音階を調節していきます。
このスライド管を伸縮させる演奏法に憧れて、トロンボーンにチェレンジしたいと考えるきっかけになった人も多いかもしれません。
スライド管は、インナースライド(内管)とアウタースライド(外管)が重なってできており、先端にはスライド感がへこんでしまうことを防ぐ「石突き」と呼ばれる突起がついています。
ほかにも、管内に溜まった水分を出すための「キイ」がついており、なかにはバランスを整えるためのおもりがついているものもあります。
トロンボーンには4つの種類がある
一口にトロンボーンといっても、主に4つの種類に分類することが可能です。
ここからは、初心者が必ず押さえておきたいトロンボーンの種類について見ていきましょう。
1.アルトトロンボーン
アルトトロンボーンは、テナーとトロンボーンよりも管が短いE♭管になっており、とくに高音域が得意なトロンボーンです。
古典派の管弦楽曲で使用されることが多く、宗教曲や合唱曲と非常に相性がいいトロンボーンの種類です。
2.テナートロンボーン
もっともスタンダードなのが、このテナートロンボーンです。
B♭がベースで非常に吹きやすく、肺活量の少ない初心者や子どもでも簡単に鳴らせる種類になっています。
低音域はそこまで広くありませんが、ジャズやポップスなどと相性がいいトロンボーンです。
3.テナーバストロンボーン
テナートロンボーンにF管をつけたのが、テナーバストロンボーンです。
低音域の音色や奏空性に優れており、吹奏楽やオーケストラでよく使用されています。
テナートロンボーンの6ポジションや7ポジションが届かない小柄な人や子どもでも、テナーバストロンボーンのF管で対応できます。
現在ではもっとも主流になっているトロンボーンの種類です。
4.バストロンボーン
楽曲におけるベースラインを演奏したいときに使用するのが、バストロンボーンです。
テナートロンボーンに、F管とE♭管またはD管などのバルブが追加されたタイプです。
音色がもっとも豊かで、楽曲に奥行きを持たせる効果があります。
初心者におすすめのトロンボーンの選び方
トロンボーンにはさまざまな種類がありますが、初心者が自分に合った1本を選ぶには、どのようなポイントに気をつければいいのでしょうか。
ここからは、初心者におすすめのトロンボーンの選び方について解説します。
1.目的から選ぶ
まず考えてほしいのが、トロンボーンを何の目的で購入するのかというポイントです。
トロンボーンは、種類によって適した音楽のジャンルが異なります。
一概にはいえませんが、音楽のジャンルごとに以下のようなトロンボーンが適しています。
●宗教曲や合唱曲:アルトトロンボーン
●吹奏楽やオーケストラ:テナートロンボーン、テナーバストロンボーン、バストロンボーン
●ジャズやポップス:テナートロンボーン
幅広く使えるトロンボーンがほしいときは、テナートロンボーンがおすすめです。
2.材質ごとの音色で選ぶ
トロンボーンは、楽器に使用されている材質ごとに音色が変わります。
そのため、購入時は材質についてもよくチェックしておく必要があるのです。
トロンボーンの材質は、おもに銅と亜鉛を混ぜ作った真鍮(しんちゅう)です。
この真鍮に含まれる銅と亜鉛の割合によって、音色が変わってきます。
●イエローブラス(銅:亜鉛=7:3)
明るく華やかな音色が特徴です。ジャズやポップス、人数の少ないブラスバンドなどに最適です。
●ゴールドブラス(銅:亜鉛=3:7)
広がりのある豊かな音色が特徴です。吹奏楽やオーケストラなどに最適です。
ほかにもローズブラスやレッドブラスなど、複数の材質が存在しています。
初心者は、もっともオーソドックスな上記2つの材質を押さえておけば問題ありません。
トロンボーンのお手入れ方法
実際にトロンボーンを購入したら、汚れを防いできれいな音色をキープするためにお手入れをする必要があります。
日常的なトロンボーンのお手入れ方法は、以下のとおりです。
1.ウォーターキイを押して管内の水分を出す
2.クリーニングロットにガーゼを巻きつけ、スライドの外管と内管の水分を除去する※スライド用のスワブでも可
3.2と同じように、抜き差し管の水分もしっかりと除去する※抜き差し管用のスワブでも可
4.マウスピースを水洗いする
5.マウスピーススワブで水分をしっかりと拭き取る
6.内管の先端にあるストッキング部分にスライドクリームを塗り、ウォータースプレーをふきかける※スライドオイル使用の場合、ウォータースプレーは不要
7.外管と内管をセットし、スライドさせてなじませる
8.楽器表面の汚れをクロスで拭き取り、ケースにしまう
このほか、1ヶ月に1~2回、ロータリーやスライドにオイルやグリスを塗るお手入れをする必要があります。また、1年に1回は楽器屋さんで、スライドやロータリーなどの調整をして頂くと安心です。
初心者におすすめのトロンボーン基礎練習方法
最後に、これからトロンボーンを始める初心者におすすめの基礎練習の方法を紹介します。
何から始めればいいかわかならない人は、以下の3つの練習から始めていきましょう。
1.ロングトーン
ロングトーンとは、深く息を吸って、長く吐いて楽器を鳴らし続ける練習のことを指します。
音に安定感を出したいとき、肺活量を増やしたいときに最適な基礎練習です。
ロングトーンで重要なのは、「どれほど長く鳴らせるか」ではなく「正しいピッチを保ちながら息を吐き続けられるか」というポイントです。
できるだけ低い音から練習を始めると、徐々に高音域へ挑戦していくことが上達への近道になります。
2.タンギング
タンギングの練習は、管楽器を演奏するときに舌を使う奏法のことを指します。
空気の流れを舌で一時的に中断することで、音の出始めを明瞭にすることができます。
練習をするときは、タンギングを意識して実際に楽器を吹いてみてください。一音一音「トー」や「ルー」と発音しながら楽器を吹くことで、簡単にタンギングのトレーニングができます。
3.リップスラー
リップスラーとは、同一ポジションでタンギングをせずに音を変える練習のことを指します。
トロンボーンの中でも難しい技術で、練習を苦手に感じている人も多いかもしれません。
リップスラーのポイントは、「息の圧をコントロール」することと「アパチュア(唇の形)」、「舌の位置」を意識することです。
まずは各要素を意識して音の感覚を掴み、それからリップスラーの譜面などを使って練習するといいでしょう。
初心者向けのトロンボーン指導なら、椿音楽教室へ!
トロンボーンにはいくつか種類があり、演奏したい楽器や好みの音色により選ぶべきトロンボーンが異なります。
初心者はこの記事を参考に、自分に合ったトロンボーンを探してみてください。
トロンボーン初心者で何から始めたらいいかわからないという場合は、音楽教室で指導してもらうことをおすすめします。
椿音楽教室は、いつでもどこでも受けられるオンラインレッスンでの指導もしています。まずは無料の体験レッスンにお申込みください。
- 初心者におすすめなトロンボーンは?
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どのような音楽を演奏したいのかという目的から選ぶのが良いです。たとえば次のような分類になります。
・宗教曲や合唱曲:アルトトロンボーン
・吹奏楽やオーケストラ:テナートロンボーン、テナーバストロンボーン、バストロンボーン
・ジャズやポップス:テナートロンボーン
幅広く使えるトロンボーンが欲しいときは、テナーバストロンボーンがおすすめです。 - 初心者はどのようにトロンボーンを学べば良いですか?
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まずはトロンボーン教室などに通い、上級者から直接教えてもらうことをおすすめします。独学であれば費用は最小限に抑えられますが、悪い癖が付いてしまったり、モチベーションが下がってしまうなどデメリットもあります。
- トロンボーン初心者におすすめな練習方法を教えてください。
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トロンボーンに限った話ではないですが、毎日コツコツ練習することが重要です。何から始めたらいいかわからない人は下記の練習から始めてみましょう。
・スケール
・ロングトーン
・タンギング
・リップスラー
【蓮野友梨香先生監修コメント】 トロンボーンの魅力はスライドを使って演奏するところです。中でもグリッサンド演奏がかっこいいです! 最初はスライドの動かし方に慣れるまで時間がかかりますが、練習をしているうちに音程を自由に操れるのが楽しくなってきます。また、マウスピースの大きさが丁度良く鳴らしやすいので、初心者でも安心して始められます。 クラシックからジャズまで、幅広いジャンルでの活躍ができるトロンボーンをぜひ楽しんでください♪
この記事を監修した講師
蓮野友梨香
楽器
トロンボーン