更新日:2017.05.08
【商業音楽たり得る音楽 その2】~椿音楽教室~
その1では、後輩の一人からこれからもっとクオリティの高い楽曲を作って行くには今後どうしたらいいのか意見を聞かせてほしい、という相談を受けた。
だが、自分が思う「クオリティ」というものは、人によって千差万別だ。
私の周りにいる若いポピュラーのクリエイターたちは、ほとんどが口をそろえて「音楽で不労所得になりたい」と方が多い。つまりは音楽であわよくば楽して稼ぎたいということだ。
もちろん、それはモチベーションとして全く悪くない。みな、楽して稼ぎたい以前に音楽が大好きな、かつマニアックな人たちばかりである。
そんな私たちが「好きな仕事でお金を儲けたい」と思うのは自然だし、筆者自身も音楽だけで生活できたらどれだけすばらしいだろうと思う。
だがそれは最終的な、最後の最後、長期的な10年単位の目標といってもいい。
どこの、だれに、どんな音楽を売って儲けたいのか。それを考えないと、売れる曲も売れないのである。誰に売りたいのかがわかれば、傾向がわかる。傾向がわかれば、模倣ができる。模倣ができるとオリジナリティができる。そして、そのオリジナリティが新たなクオリティへの近道なのではと思っている。
打ち込みの技術は、2017年現在だと10代の若者でもプロ級レベルの方がたくさんいる。そのまえに前提として、打ち込み技術が十分であればそれだけで仕事としてのニーズに答えることができるのだ。さきほどの後輩君が、すでに仕事として音楽の発注をできるのと同じように。
それ以上さらにクオリティをあげるためには、まずどこに向かうかの目標設定が大事なのかもしれない。
自分が好きな音楽はなんだっただろうか? 影響を受けたアーティストは誰だっただろうか? 誰に向けて自分の音楽を届けたいだろうか?
私自身も、数いる魅力的なクリエイターたちに埋もれいないよう、個性を光らせて「商業足りうる音楽」を届ける目標を考えたいものである。