更新日:2017.05.08
【ボイストレーニング】~椿音楽教室~
ボイストレーニングはボーカリストだけに行われるもとかとお思いの方も多いと思うが、実のところそうでもない。
声を使う職業——歌手、ナレーター、声優、俳優、オペラ歌手等はもちろんのこと、普段声を専門に扱う仕事ではないものの、大きな声が必要となってくる方にとってもボイストレーニングが有効だ。
以前読んだ書籍では、広いコートで声を張り巡らせて指示を出すバスケットボールの監督が、声が枯れる悩みを抱えてボイストレーナーに相談しに言ったという事案もある。
歌の能力、それこそ音程やリズム感のみならず、それ以前の“発声”という大きな点でさらに多くの人に必要とされているのがボイストレーニングだ。
私は普段仮歌をよりよいクオリティにするために個人経営のボイストレーナーに習ってトレーニングをしているのだが、今回は劇団の芝居のためのボイストレーニングに潜入してみた。
芝居をする役者なので、本番に歌を歌う者は誰一人としていない。だが、役者にはせりふを一番後ろのオーディエンスにまで届ける必要がある。そして、彼らは一つの舞台につき約二時間以上も声を張り続けなければならないのだ。そのため、正しい発声が必要となってくる。
さて、役者ではない筆者は「歌手以外の人を相手にするボイストレーニングがどういう者なのか」と、興味半分でそのボイストレーニングについていった。
だが、いざレッスンが始まってみると興味本位で参加使用とした自分を後悔した。
まずは一番はじめの発声レッスン。床に四つん這いになり、ひらがな50音を順番ずつ大きな声で発していく。
ただのひらがな発声と侮るなかれ、これが強烈にきつい!
発声は体を使うものなので、ある程度体に負荷がかかることはわかっていたのだが、まさかこれほどまでとは筆者も想像だにしていなかった。
次に、同じひらがな発声でも今度は仰向け、しかも足を地面につけない状態での発声ときた。これは腹式呼吸がどの筋肉を使っているのか顕著にわかるトレーニングなのだが、いやはや、正直終わった後は死にかけていた。普段はパソコンよりも重いものを持たずにデスクに向かって作曲をしているものだから、運動不足の筆者には大変きつい。
役者に向けたボイストレーニングが、普段筆者が受けているボイストレーニングとどう違うのかをリサーチしに行ったのに、それどころではなくなってしまった。