更新日:2017.04.13
【クロテイル】~椿音楽教室~
筆者が通っていた音楽の学校では、還元打楽器を扱うプレイヤーコースが存在するのだが、そこに所属しているプレイヤーたちは、各国各地に散らばっている楽器たちを使い、よく他の学科を驚かせたものだ。私が参加していたアンサンブルも同様、ブラジル音楽を使うときは(普段の演奏ではまずお目にかかることはないであろう)ブラジル楽器や、カリプソでよく使われるスティールパンなどを持ち出してはよく演奏してくれていた。
そんななかでも筆者がひときわ目を輝かせたのはクロテイルという楽器だ。
クロテイルは別名アンティークシンバルという。だがシンバルの名前をしていながらクロマチックな音階が用意された大変珍しい構造の楽器だ。
ちなみに音色はグロッケンに似ているが、グロッケンよりも少しだけ存在感のある、まるで異世界にいるような不思議な音がする。
この楽器を初めて見たときはものすごく興味津々で、授業直前だったにもかかわらず先輩のプレイヤーの方に「触らせてください!」とおもわず言ってしまった。(普段プレイヤー学科の方は他の学科に楽器を触らせることをあまりしないため。今思うとクロテイルを触らせてくれた先輩は大変寛大だったと思う。)
クロテイルの鍵盤は厚い金属を丸くくり抜いたような形をしていて、演奏可能な音域を広げるために、脱着式になっているものも多いそうだ。とても楽しく触らせてもらったおかげで、しばらくはクロテイルという筆者にとって新しい楽器をしばらく忘れることができなかった。
ここ最近になって、DAW上で作曲をする際に、数年ぶりにクロテイルという楽器の存在をふと思い出した。そのときにちょうどとある仕事の案件でインストゥルメントの楽曲を納品する必要があったのだが、オーケストラ音源を立ち上げてみると、なんとクロテイルのプリセットが!
初めてクロテイルを触ったときのことを思い出し、嬉々として楽曲にとりいれることにした。
この楽曲を通してもっと多くの人にクロテイルの良さが伝わると嬉しい、そんな思いを込めながら。